2017/07/09 23:30


文月、日曜、そして満月の夜。

お話をひとつ
お届け致します。


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"There's fennel for you, and columbines."

シェイクスピアの悲劇『ハムレット』で狂ったオフィーリアが宮廷で花を手渡し歩く印象的な一節。花々の象徴的な意味が人物に当てはまり、クローディアス王にはフェンネルとオダマキを手渡します。
フェンネルは、追従・おべっかの意味を持ち、蛇の好む植物として知られていたことから、
『追従者共に囲まれた蛇』を模し、悪事を重ね、王座についたクローディアスに渡す花として相応しいという皮肉を込めたメッセージが感じられます。

そんな物語から幾重にも読み解けるフェンネルは、薬効にもすぐれ、中世のヨーロッパでは悪から身を守るとして家のドアだけでなく、寝室の鍵穴にまでフェンネルを詰め、眠りを妨げる霊をも追い払ってきたとされています。

フェンネルの種子から抽出されたオイル(フェンネルスイート *使用上の注意有り)は、甘くスパイシーで独特の心地良さを感じさせてくれます。魔除けに用いられたのと同様に、ネガティヴな余分なものを取り除き、体液の流れを良くし、心と身体をデトックスするのを助けてくれます。
もし今あなたが少し物事を考え過ぎたり、自分を否定的に捉えてしまったり、感情を抱え込んで押さえつけてしまうのなら、どうぞこの香りを。
お嫌いでなければ、一日の終わりに少し瞼を閉じて、香りを吸い込み、溜め込んでいた気持ちと共にゆったり吐き出してみてください。
ご自身を解放し、穏やかな眠りとなりますよう、どうぞ良い夜を。


参考文献
シェイクスピアと植物 / 金城盛紀

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